石狩アースモニター(Ishikari Earth Monitor: IEM)は サイエンスアイが進めている事業の一つです。
2011年に開館した 子ども未来館「あいぽーと」には 科学実験・測定・工作等が可能なスペース
「創作室」が設置され種々の機器が購入・設置されました。石狩アースモニターは
その一つです。2015年4月からは石狩市に移管され その管理と測定を
サイエンスアイが委託事業として進めています。
このシステムでは市民と子どもたちの手で石狩の環境を
連続的かつ継続的に測定することにより 地球の姿(環境)を
モニター(監視)します。 得られたデータと解析結果は世界に発信されます。

<どんな測定を行っているの?>  気温と地下温度の測定を行っています。地下温度測定には 
使用されなくなった市の古井戸(深さ約200m)を利用しています。得られた長期間の
温度データは地球環境の変化、特に現在懸念されている地球温暖化、
都市のヒートアイランド現象、等々の研究に利用されます。


測定機器は、写真のように、花川南コミュニティーセンター前庭の古井戸に設置されています。
測定はノースワン社製の機器で行われています。 温度センサーは 防水型白金測温
抵抗体 (深さ 200 m の井戸に設置 150 m、100 m、50 m、1 m、0.5 m、0.1 m
および気温)。 データロガー: KADEC21-U4-N2 気温センサーは
日射を避けるため自然通風型の筒の中に設置されています。
測定は1時間ごとに1回自動的に行われデータロガーに記録されます。
データロガーは写真のように丈夫な箱の中に格納されており通常は外から見え
ません。データロガーの内部メモリーに記録されたデータは
時々外部メモリーにダウンロードされます。
測定機器は2011年3月15日に設置され15時42分から測定が始まりました。温度センサーは
最初は6点でしたが 2012年4月に深さ0.1mが増設され 現在合計7点の
温度測定が続けられています。ダウンロードされたデータは 
エクセル・ファイルに変換して管理しています。
希望者には数値データを提供します。

<測定データの解析例>  データはいろいろな利用が可能ですが 解析例を一つ示します。


上のグラフは 1時間毎の温度データから毎月の平均温度を算出し 時間順に並べたものです。
気温と、0.1 m、0.5 m、1 mの地下温度は、はっきりと季節変動を示しています。
夏には高温となり冬には低温となり、また、地下の温度が気温よりも
すこし遅れて変化していることが分かります。これは 
熱が地下に伝わるのに時間がかかるからです。
ところが それより深い 50 m、100 m、150 m の地下温度はほとんど変化していないように
見えます。しかし 気象庁の発表によると 日本の平均気温は100年で1.1℃の割合で
上昇しています。石狩アースモニターの測定にも 近い将来地球環境の変化
による影響が見えてくることでしょう。

<石狩アースモニター所管>石狩市 <事業委託>サイエンスアイ